院長ブログ

2017.04.30更新

今年から学校歯科医として中学校の健診を担当することになりました。
今までは保育所を2002~2016年まで担当していました。

今回驚いたのは中学生の歯並びの悪さです。
歯並びが悪いというのは歯科用語では不正咬合という病名になります。

どのくらいの割合で不正咬合があると思いますか?

保育所では0歳から6歳の不正咬合は1割あるかないかというところでした。

中学生では永久歯という一生使用する歯に変わります。

今回担当した中学校では不正咬合は8〜9割でした。

少し歯並びが悪いというより
素人がみてもわかるガタガタの歯並びでした。

なぜガタガタの歯並びになると思いますか?

理由は、舌と唇が正常な動きをしていないからです。

特に舌は低位舌といって本来ある位置に位置していないために
口蓋といわれている上顎が成長していきません。

口蓋が舌の圧力で広がり歯並びに重要な上の顎の歯槽骨が成長します。

舌の圧力が上の顎に効かないため小さな顎のまま大人の大きな歯が生えてくれば
もちろん顎の大きさと歯の大きさの合計が合わず歯が重なってしまいます。

さらに口で呼吸する癖のある子は唇が歯を抑える力が働かないために
歯が前に前に出てきてしまいます。

舌の圧力と唇の圧力の間に歯は生えてくるために
このような不正咬合の子供達になってしまします。


不正咬合は虫歯や歯周病で歯が悪くなりやすい状態になっています。

未来に健康でいて欲しい中学生にこのような不正咬合が広がっていることに
驚きを隠せませんでした。

舌を上の顎にしっかり吸着させているか?
唇がぽかんと開いてしまっていないか?

今一度確認して欲しいと思います。

2017.04.23更新

4月になりいよいよ花粉症もピーク。気温の変化が大きく風邪を引かれてしまう方も多い時期です。

患者様で何人かの方が鼻水などを止めるために薬を飲んでいますという方がいらっしゃいました。

その方達に、いつもはピンク色に引き締まった歯肉が赤く腫れてタダれている様子がみられました。

先日も50代の女性で歯磨きの上手な患者様なのでおかしいと思い、お話を聞いてみると
実は強力な鼻水を止めるためのお薬を今飲んでいますとの返答。

鼻水止めで歯肉のタダれが関係しているとは患者様は思わなかったのですが
実はそのお薬は唾液の量も減少させてしまっているとお話をすると驚かれていました。

鼻水の出を止めると唾液の出も止めてしまうために
唾液の細菌抑制作用が減り細菌が増殖し歯肉の腫れに繋がったと考えられます。

唾液には細菌抑制の他にも様々な歯や体によい作用があります。

歯の再石灰化や、粘膜保護作用、酸を中和する作用、潤滑作用、消化作用などの働きがあります。

唾液の量が減少することで歯肉が腫れることは十分考えられることなのです。


患者様にもお話して口の中が乾燥しないように、夜寝るときや昼間も口をなるべく閉じてくださいと伝えました。
唾液を意識して腫れた歯肉に浸らせる環境にして欲しいとお伝えしました。

鼻がつまり口で呼吸している患者様も口の中は乾燥しがちです。

口の中は乾燥すると歯肉が腫れるだけではなく虫歯にもなりやすいのでご注意ください。

 

https://www.shirayuri-dental.jp/

2017.04.23更新

2017年4月22日の午後、特養秋桜のスタッフ対象に歯ブラシ講習会を開催しました。

特養秋桜は衛生的な施設です。
高齢者のご利用者様の歯のケアもスタッフが力を入れて丁寧に行っています。

昨年も歯の講習会を開催しましたが今回は比較的入社歴の浅いスタッフを中心に実践編を行いました。


高齢者に対してなぜ歯磨きが重要かという質問を投げかけました。
肺炎をこじらせてしまいお亡くなりになる方が非常に多い時代です。
肺炎は日本人の死因の第3位になっていると解説しました。


口の中の食べカス・歯垢・細菌の排出するガスや毒素などが、本来食道から胃に入れば問題ありません。
しかし機能が低下した高齢者の場合は、口の中のそれらのものが胃に入らず、
気管から肺に入ってしまうことがあります。

これが誤嚥性肺炎と言われている高齢者がかかりやすい肺炎です。

高熱が出るだけで薬で治ればいいのですが
酷くしてしますと大変なことになってしまいます。

近年はどこの高齢者施設でも口の中を衛生的に保つことが常識になっています。

口の中の食べカスが肺に入れば肺には消化機能はないのでそこで腐敗し炎症を起こし肺炎に繋がります。

食べた後の口の中の衛生は高齢者にとって生死を分けるといっても過言ではないのです。


高齢者の肺炎は飲み込み間違えて入ってしまったという誤嚥性肺炎で知られていますが

もっと恐ろしいのは不顕性の誤嚥性肺炎です。

この不顕性肺炎は寝ている間に誤嚥しているとは気づかず唾液が肺に流れ込むことなどにより発症します。
寝る前の口腔ケアである歯磨きが非常に重要になることをお話してきました。

今回はいろいろな種類の歯磨き方法をご紹介し、相互実習をしてもらいました。
歯間ブラシをお勧めしたところ、20代が多かったため隙間が狭く苦労していました。

さらに歯周ポケットの中の歯垢をとってもらいたいと歯肉マッサージも兼ねているバス法を勧めました。
バス法は一度習得すればそれほど難しくはないものの20代のスタッフには難関のようでした。



講習会に参加されたスタッフは口腔ケアのことを改めて知ったとのことで
講習会は有意義のようでした。


2017.04.23更新

今回は、歯並びについてお話したいと思います。

歯並びは遺伝ですか?と質問を受けます。

一般的には歯の大きさや顎の大きさなど遺伝による傾向が多いことは知られています。

しかし、生活習慣によっても歯並びは大きく左右されます。

歯並びは基本的には、舌と唇のバランスで決まってきます。

また歯が生える顎の大きさは舌の使い方で大きさや形が変わることが言われています。

最近、子供たちの舌の位置か低いという問題があります。
舌の位置が低いと何が起きるでしょうか?

舌の位置が低いと上の顎が大きく成長しません。
舌の正しい位置は上の顎(口蓋)に接触していないといけません。

舌の位置が低いために本来成長しないといけない時に上の顎の大きさが成長しません。
そのせいで下の顎の成長も続いてこないと言われています。


舌を上の顎にぐっと押しつける圧力で上の顎が大きく成長すると、歯が重ならず綺麗に並びます。
顎の成長が悪いと生える空間がないために歯が重なって生えてくるしかありません。
そうなると歯並びを矯正して綺麗に見せる必要が生じます。

さらにもっと問題なのが、舌の位置が低いと姿勢が悪くなります。

通常、舌は顎の上にくっついていることにより姿勢を綺麗に保つ働きをしています。
顎を引き唇を閉じて舌を上顎にピタッとくっつけること。

これが歯並びが綺麗で健康な体作りのコツだと思います。

是非、成長期のお子様がいらっしゃいましたら舌の位置を確認してみてください。

2017.04.17更新

最近、話題になっているくいしばり症。

ふっと気づくと、歯と歯を強く噛み締しめていることはありませんか?

いつもグーッと歯と歯を接触させているのは正常なことではありません。
歯と歯の間には安静空隙といって常に2mm~3mm程度の空間があるのが普通の位置になります。


もし食いしばっていると気づきましたら、顎の食いしばる力を抜いてください。

いつも歯と歯を強く接触した状態にしておくと歯のトラブルにも繋がりかねません。

歯が過重オーバーになるとお皿が欠けるのと同じように歯がチップして欠けてきたり
根っこの治療をした歯では薪割りのように根っこが真っ二つに割れてしまったなどの
破折してしまうトラブルも報告されています。

くいしばり症の方は舌と頬に歯型がついてしまっているケースが多いと言われています。

ホタテの貝の縁のような跡が舌や頬についていたらくいしばり症の疑いがあります。

意識してふっと力を抜いてみてください。

リラックスを心がけてくださいね。

https://www.shirayuri-dental.jp/bitealignment/

2017.04.15更新

歯周病の治療は歯の周りに歯周病菌がないことが一番。

歯垢は歯ブラシで除去できますが
歯石はそうはいきません。
ふわふわした歯石もあればガチガチの岩のような硬さのものと様々な歯石があります。

昨日も久しぶりにコンクリートのように硬い歯石が歯に付着した患者様がいました。

超音波のチップをしっかり最高の振動にして当ててもなかなか落ちてきません。

振動が大きいとなり熱くなり歯をやけどのようにしてもいけないので
お水で冷却しながら 直角に当ててみたりと様々なチャレンジをして
歯石を歯から砕き落とし、ざらつきをスケーラーで滑らかにしました。

歯周ポケットの中で形成されている硬いコンクリートのような歯石。

これが取れた後のピンク色で綺麗な歯肉の色を想像しながら
歯石取りをしています。

引き締まった健康的な歯肉をみたいと思いながら
日々診療に勤しんでいます。

2017.04.10更新

デンタルインプラント。
歯の根を失った方が歯槽骨に人工の根を入れることで歯の機能を回復する治療です。

通常歯槽骨に歯根が最低1cmの長さが残っていれば
上に土台を作り歯の形をした被せ物を入れていくことができます。

デンタルインプラントは健康な歯槽骨の高さ1cm, 幅5mmの大きさがあれば
人工の根を埋め込み、天然歯の根の代わりをすることができる治療です。

第3の歯と言われるように、しっかり噛むことが出来ます。

噛む力は部分入れ歯ではおおよそ1/3に小さくなります。
総入れ歯では1/10ほどの噛む力が下がります。

それに比べてデンタルインプラントの噛む力は天然歯と大きく変わりません。

噛む力は体のバランスにも関わるため
当院ではインプラント治療を推奨しています。

天然歯とデンタルインプラントの大きな違いは骨との結合関係です。
天然歯は骨と歯の間に歯根膜というトランポリンのような膜が介在します。
これは髪の毛1本でも噛むと違いがわかるセンサーの役割をしています。

インプラント体はこの歯根膜がなく骨に直接結合しています。
そのため歯根膜のセンサーである細かい違いがわかりません。

しかし全てインプラント治療という方は少ないため
天然歯が介在していれば歯根膜がなくてもインプラント治療で大きな問題は起こりません。

日本人の10人に1人はインプラント治療をしている時代です。
もし歯根を失ってしまった場合はインプラント治療を検討してみてはいかがでしょうか?

2017.04.09更新

1998年は私が歯科医師2年目の頃です。
この時には、なんと今でも驚くのですが、365日中360日は歯科の勉強のみに集中していました。
目覚めてから、寝るまで歯のこと以外は考えられない時期でした。
娯楽という娯楽は全て排除。
朝診療にでて、診療後は歯の治療の練習で、気付いたら夜の0時を回っているということもしばしばありました。
診療は週6日勤務し、お休みの日には講習会または専門書を読み漁っていました。
TVも漫画も映画も小説もカラオケも旅行も友人とのお食事も家族とも会わず、全てを歯科の世界を知るための時間に費やしていた時代。

この頃診療に来てくださっていた方がYさんです。
彼女は他院で左上の2番が悪いので抜歯しましょうと言われていました。
私が根の治療と歯周病の治療を行ったところ
少し動きはありましたが痛みがなくなり仮歯でも調子がよくなりました。
そこで彼女の選択は上に被せるものはセラミックスのメタルボンドでした。

技工士が専属にいた歯科医院でしたので技工士さんに相談して作製してもらいました。

抜歯する必要があると言われていた歯です。
どのくらい長持ちするかわかりませんよとお伝えしましたが
彼女はいいものを入れてくださいということで承諾してセットしました。

しらゆり歯科医院開業後も私のところに来てくださり、本日も定期検診にいらしてくださいました。
もう20年近くの年月が経ち、その2番はいまだに使用されています。

この2番を先生が入れてくれたから
まだ持っているのよとYさんは自慢そうに話してくださいます。

私は勉強したことを忠実に行い実践しただけです。
抜歯宣言されていた歯が20年の歳月が経っても立派に存在しています。

歯の寿命とはなんであるだろうかと思います。

昭和時代の治療では残せなかったものが平成の治療では残せること。

常に進化していく歯科医療ですが
最先端を勉強し確実性を増した時に採用している医療の選択。

Yさんから先生に治療してもらったから
こんなに長持ちよと言ってもらえるのが何より嬉しい出来事でした。

腰が曲がってきている状況をご本人も把握されていて
いつまで通えるかしらと言いながら通院してくれています。

あと10年間、左上の2番が長持ちしてほしいと思うばかりです。


2017.04.09更新

歯はお手入れ次第で長持ちします。

要素としては虫歯、歯周病、噛み合わせの3つが関係してきます。
それに生活習慣が合わさり歯の健康寿命が左右されます。

虫歯になりにくいからといって安心はできません。

虫歯になりにくい方は歯周病を悪化しやすい傾向にある場合があります。

40歳代までは歯の痛み知らずで歯医者さんに通ったことがないという方がいらっしゃいますが
その方たちには歯周病を発症していることが多く見られます。

虫歯は虫歯菌によることが多いのですが
歯周病は歯周病菌により発症します。

虫歯になりやすい方は、20歳代から歯で苦労をしているためによく歯磨きをしています。

虫歯になりにくい方は歯磨きの習慣が少ないこともあるかもしれません。

いきなり40歳代に歯肉の腫れが起こり始め
50歳代には毎年1本ずつ歯が抜けていくということもあります。

歯周病は特に若い時からのお手入れが差をつけます。

歯に付着する歯垢は歯磨きで除去することができますが
歯にがっちりと付着する歯石という硬い物質は歯磨きでは落とすことができません。

この歯石は歯肉よりも上についているうちはまだマシなのですが
歯肉よりも下の歯周ポケット内に付着しだすと悪さをしだします。

歯周ポケットが4mm程度の深さになると嫌気性菌と言われる酸素がなくても生きていける細菌が住める環境になります。

この嫌気性菌が住める環境が整いますと歯周病と言われる歯を支えている歯槽骨が溶け始める原因になります。

歯周病は骨が溶けて歯の支えを失う病気です。

虫歯は若い時から痛みを伴う病気ですので気をつけなければと思う機会が多いのですが
歯周病は沈黙の病気とも言われています。

ほとんど痛みを伴わず、違和感などの症状を感じづらい病気です。
歯肉が腫れ出したり、歯がグラグラして噛めなくなってきたりとおかしいと自覚した時には、抜歯宣告をされることが多いのが特徴です。


予防歯科は、お口の健康を維持する専門の分野です。

症状の出にくい歯周病は特に予防歯科を受診して欲しいと思います。

予防歯科では骨が溶ける条件である歯周ポケット4mmを見逃しません。

虫歯予防はもちろんのこと
歯周病対策では4mmの歯周ポケットの存在、歯肉縁下歯石の存在、噛み合わせの不具合を早期発見し対応します。

痛みがなくいつまでも健康なよく噛める歯を維持することが健康寿命には大きく影響してきます。

皆様が快適に健康を維持できるために予防歯科が重要な働きをしていくことを実感しています。
歯の不具合を感じての受診ではなくクリーニング感覚で検査に来ていただきたいと思っております。

2017.04.09更新

歯の構造は、大きく3つに分かれています。
歯の表面を覆う硬いヘルメットのようなエナメル質。
歯の中央に植物でいう道管のような空洞になっている神経や血管などが入っている歯髄腔。
エナメル質と歯髄腔の間に存在する象牙のような色の象牙質。

根管治療といわれるものはこの中央に位置する神経が入っている歯髄腔の治療になります。

この3層構造で一番外側のエナメル質のミネラルが溶け始め硬い構造が破壊されていくと虫歯菌が歯の中に入り込みます。
象牙質へ達すると虫歯菌の副産物である酸が象牙質のミネラルをさらに溶かし始め軟化象牙質という茹でた栗の実ようなものに変化させます。
象牙質内で虫歯菌を除去してしまえば通常それ以上の虫歯菌の進行は止まります。

しかし象牙質を溶かしながら歯髄腔の空間の場所まで虫歯菌が進行すると
神経にダメージを与え、神経に虫歯菌が感染し、神経の入っている歯髄腔全てを綺麗にしないといけなくなります。

その状態まで虫歯菌が進行した場合は神経を取り除き歯髄腔の中に虫歯菌がいない状態、無菌状態にします。

それが根管治療といわれる歯医者さんで根の治療をする処置になります。


神経に虫歯菌が感染した場合は通常、激痛を伴うことが多く見られますが、急に痛みがなくなったと思って安心しているとさらに状態が悪化します。

さらに神経に感染した状態を放置すると神経が壊死(神経が死んだとか腐ったといわれる)する状態になります。

歯の中の歯髄腔の中では酸素を必要としないでも生きていける嫌気性菌が活動を始めます。
この嫌気性菌が根の先に向かい、かなり強烈な毒素を出しはじめます。
それが歯から骨に出ていくと硬い骨が溶け始めます。

骨を溶かし、根の先が炎症を起こし化膿しだします。

根っこが腫れたという経験がある方は多いと思います。
これは歯髄腔で虫歯菌が繁殖し汚染された状態になっていると考えられます。

骨が大きく溶けると最悪は抜歯の可能性がでてきます。

上の歯の根っこは副鼻腔との距離が近いために副鼻腔炎を引き起こすこともあります。
いわゆる蓄膿症ですが、根っこの先から虫歯菌が副鼻腔へ毒素を出し副鼻腔で炎症を起こし
手術をしないといけないという話も聞きます。

たかが歯と思っていても細菌感染がどこまで及ぶかと考えると恐ろしいです。


エナメル質の表面での初期虫歯は再石灰化の可能性があるためすぐには治療に及ばないほうがいい場合がありますが、象牙質へ及んだ虫歯は自然治癒はしません。

神経の入っている歯髄腔まで及ぶ前にきちんと治療を行い虫歯菌を根へ進行させないことが重要になります。


神経の治療は連続し治療を進める必要があります。

半年間、根の治療を放置していた患者様が、仮の蓋が外れて放置して虫歯が奥まで進行して抜歯したケースもあります。


根の治療は骨まで及んだ場合は特に回数がかかることがあるため
象牙質内のうちに虫歯を発見し治療することが大切だと考えます。

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