院長ブログ

2017.04.09更新

歯の構造は、大きく3つに分かれています。
歯の表面を覆う硬いヘルメットのようなエナメル質。
歯の中央に植物でいう道管のような空洞になっている神経や血管などが入っている歯髄腔。
エナメル質と歯髄腔の間に存在する象牙のような色の象牙質。

根管治療といわれるものはこの中央に位置する神経が入っている歯髄腔の治療になります。

この3層構造で一番外側のエナメル質のミネラルが溶け始め硬い構造が破壊されていくと虫歯菌が歯の中に入り込みます。
象牙質へ達すると虫歯菌の副産物である酸が象牙質のミネラルをさらに溶かし始め軟化象牙質という茹でた栗の実ようなものに変化させます。
象牙質内で虫歯菌を除去してしまえば通常それ以上の虫歯菌の進行は止まります。

しかし象牙質を溶かしながら歯髄腔の空間の場所まで虫歯菌が進行すると
神経にダメージを与え、神経に虫歯菌が感染し、神経の入っている歯髄腔全てを綺麗にしないといけなくなります。

その状態まで虫歯菌が進行した場合は神経を取り除き歯髄腔の中に虫歯菌がいない状態、無菌状態にします。

それが根管治療といわれる歯医者さんで根の治療をする処置になります。


神経に虫歯菌が感染した場合は通常、激痛を伴うことが多く見られますが、急に痛みがなくなったと思って安心しているとさらに状態が悪化します。

さらに神経に感染した状態を放置すると神経が壊死(神経が死んだとか腐ったといわれる)する状態になります。

歯の中の歯髄腔の中では酸素を必要としないでも生きていける嫌気性菌が活動を始めます。
この嫌気性菌が根の先に向かい、かなり強烈な毒素を出しはじめます。
それが歯から骨に出ていくと硬い骨が溶け始めます。

骨を溶かし、根の先が炎症を起こし化膿しだします。

根っこが腫れたという経験がある方は多いと思います。
これは歯髄腔で虫歯菌が繁殖し汚染された状態になっていると考えられます。

骨が大きく溶けると最悪は抜歯の可能性がでてきます。

上の歯の根っこは副鼻腔との距離が近いために副鼻腔炎を引き起こすこともあります。
いわゆる蓄膿症ですが、根っこの先から虫歯菌が副鼻腔へ毒素を出し副鼻腔で炎症を起こし
手術をしないといけないという話も聞きます。

たかが歯と思っていても細菌感染がどこまで及ぶかと考えると恐ろしいです。


エナメル質の表面での初期虫歯は再石灰化の可能性があるためすぐには治療に及ばないほうがいい場合がありますが、象牙質へ及んだ虫歯は自然治癒はしません。

神経の入っている歯髄腔まで及ぶ前にきちんと治療を行い虫歯菌を根へ進行させないことが重要になります。


神経の治療は連続し治療を進める必要があります。

半年間、根の治療を放置していた患者様が、仮の蓋が外れて放置して虫歯が奥まで進行して抜歯したケースもあります。


根の治療は骨まで及んだ場合は特に回数がかかることがあるため
象牙質内のうちに虫歯を発見し治療することが大切だと考えます。